葬式で遺体を霊柩車で運ぶには行政からの許可が必要

葬式で火葬場まで遺体を運ぶのに用いられる霊柩車は、すべて緑色のナンバープレートが取り付けられています。実は、葬式などで霊柩車を用いて遺体を運ぶ業務を行うためには、国土交通大臣からの許可が必要になっています。通常、人間は生きていても死んでいても人間として扱われることに変わりはありませんが、法律上では人間は亡くなった瞬間に物と同様の扱いになります。そのため、遺体を運ぶ行為は、貨物を運送する行為と解釈されるため、一般貨物自動車運送事業の許可を取得しなければなりません。

一般貨物自動車運送事業許可の区分の中には、葬式等で霊柩車を用いる業者のために霊柩限定と呼ばれる区分が設けられており、大半の葬祭業者はこの許可を取得しています。申請方法は基本的には通常の一般貨物自動車運送事業許可の申請と同じで、事業者、事業所、事業に使用する車両などの資料を申請書とともに提出し、審査に合格すれば許可が下りて業務を始められます。なお、バス型の霊柩車も運行する場合は、遺族や宗教関係者などが法律上における旅客に該当するため、霊柩限定の一般貨物自動車運送事業許可だけでは運行できず、一般貸切旅客自動車運送事業許可の取得も必要となります。また、霊柩車の運転手については、単に遺体を乗せて運ぶだけであれば、旅客を運ぶわけではないため、第二種運転免許を取得する必要はありませんが、バス型の霊柩車を運転する場合には使用する車両の大きさに応じた第二種免許を取得する必要がります。

ただし、葬儀社の中には、社内規定によって、第二種免許の保有者のみを霊柩車の運転にあたらせているところもあります。